留学生のリアル。名門IEDに通うCDA受講生、森田さんに留学について詳しく話を聞きました | Car Design Academy [カーデザインアカデミー]|オンラインのカーデザインスクール - Part 3

留学生のリアル。名門IEDに通うCDA受講生、森田さんに留学について詳しく話を聞きました

森田さん学校作品05

現役デザイナーが直接指導する理想的な教育環境・・・ただし夜9時半まで授業!
そして気になる就職事情について

話は少し変わりますが、IEDでは定期試験ってありますか?

試験はあります。科目の殆どは実技中心で、具体例を挙げるとスケッチ授業の場合は、一つのプロジェクトに取り組んで、最終的にプレゼンテーションを行います。その中ではスケッチスキルだけでなくコンセプト立案など、総合的に評価されます。IEDだと30点満点で18点が合格ラインです。不合格の人はその後作品を修正して再提出する必要がありますが、授業を真面目に取り組んでいれば18点以下になることはありません。
それから他の実技科目では、デジタルペイントや3Dバーチャルモデリングの試験もあります。
デジタルペイントは、完成したレンダリングスケッチを渡されて、 “これを3時間で同じように描きなさい” という試験がありました。
レイヤー構成などの情報は勿論ありません。スケッチを下敷きにして、PhotoShopを使ってどれだけそのレンダリングに近いペイントができたかで評価されます。3Dバーチャルモデリングも同じように、製品の写真を渡されて3時間以内にモデルデータを制作するといった試験内容です。ソフトはAliasを使用しています。

デジタルの試験方法が職業訓練って感じで興味深いですね。スケッチの授業というのは、具体的には何を指導してもらえるのですか?描き方を教えてもらえたりしますか?

セオリーを教えるというよりも、たくさん描かせるといった感じです。ですので入学してからはひたすら描いています。学校でスケッチして帰宅してからも描いて・・・、そりゃ上達するわって思います(笑)
それから実技科目以外では、材料分類学(Materials Typology)という科目があって、鉄とか樹脂の特性などについて学びます。それは普通のお勉強なので、選択式・記述式の試験です。僕は元々高校で理系だったので得意ですから問題はありませんでした。どちらかというと僕にとってこの科目は、
普段の会話で出てこない単語を多く学べるので、英語の授業と捉えています。

森田さん学校作品06
森田さん学校作品07

指導する先生についてはどうですか?

指導ですが、実は学校の常勤教授はあまりいなくて、殆どが非常勤の客員教授です。
その方々はメーカーのデザイナーで、昼間はスタジオで働いているため、仕事終わりに教えに来てくれます。
したがって、夜の授業(6時半~9時半)がほとんどです。
彼らの多くはIED出身で、自分たちの後輩という意識が強いからなのか、とても熱心に教えてくれます。
色々なメーカーから来てくれていますが、
今だと、ピニンファリーナ(→Pininfarina)、フェラーリ、マセラティ、フィアットのデザイナーが教えてくれています。

それは効果的な勉強になりそうですね。教える先生はプレイヤー(※今現在スケッチを描いているデザイナーのこと)ですよね?

すごく勉強になります。客員教授は若くて、現役バリバリで描いてる人達です。最新のスケッチテクニックを学べることも良い点ですが、 “ああ、こういう人がデザイナーなんだ” と実感できる。つまり雲の上の人ではないと感じられる点も大きいかと思います。歳が近い事で仲良くなりやすいですし、つながりも増えます。そうやって自然とデザイナーの世界に近づいている感覚を得られています。 CDAでもプレイヤーである講師が添削して、その後に電話していますよね。あれってこのシステムに近いと思います。

そうですね。私はアートセンターやCCS(→Center for Creative Studies)でプレイヤーが直接指導している事を元々知っていました。CDAではその環境をオンラインで実現したいと思って色々と仕組みを考えていますので、森田さんがそのように感じてくれてすごく嬉しいです。

森田さん学校作品06

それにしても、充実した学校生活のようにも感じますが、朝から晩まで学校というのは少々キツそうですね。

いやいや(笑)さすがに、そんな過密な授業構成ではありません。夜間授業がある日は午前中は理論の勉強で、昼間は授業が無いなど、バランスが取られていると思います。むしろキツいのは授業ではなく、宿題ですね。

そこは日本の美術系学校と同じなんですね。今度はちょっと日欧の価値基準の違いについてお聞きします。
日本の美術系学校だと割とコンセプトを重視する傾向にありますが、IEDではどうですか?

こちらの教授もコンセプトは確かに大事とは言いますが、結局はスタイルを重視していると思います。
”クルマ”の捉え方に国民性が出ているような気がしています。皆がカッコいい車を好いているというか・・。
ただどっちが良いとかではなく、違いを知る事ができているので、この辺りも留学の魅力かと思います。
色んな事を知ることで新しいパースペクティブを持てるというか、視野が広くなったことを実感できています。

森田さん写真

唐突な質問になりますが、留学先での生活ってどうですか?あとクラスメイトとの関係は良好?

僕は数少ない日本人留学生なので珍しがられますね。これはラッキーだと思っています。学校の外でも、イタリアに出向している日本人カーデザイナーの方と知り合えました。
学校ですが、ここでは国籍や人種に関係なく、絵が上手いやつに人が集ってきます(笑)
上手いやつがエライみたいなところはありますね。あとクラスメイトは当然ながらクルマ好きな人ばっかりなので
すぐに打ち解けあえますよ。常に話題は車の事ですけど。

休日はクラスメイトとクラシックカーのイベントへ

クラスメイトとの写真2

ところで、就職事情ってどうですか?日本のように新卒一括採用ではないですよね。その場合は学生はどう企業にアプローチして就職するのですか?

本日で一番難しい質問ですね(笑)僕はまだ本格的な就活をしていないので具体的なことは答えられませんが、とにかく自分で行動しなきゃいけないって感じです。インターンに応募したりとか、ポートフォリオ送ったりとか、上級生見てるととにかく数を打っています。あと、卒業後に就活している人もいます。3年制ですが、学校生活は課題制作で忙しくてそういった活動ができないことが理由かと思います。あとは、客員教授の方々と接していると、スケッチスキルを重視しているように感じるので、とにかくスケッチ上手くなるめに今は描きまくってます。

森田さん学校作品07

留学に踏み出そうか悩んでいる方へのメッセージ

長くなりましたが、いよいよ残り2つの質問です。
まずはじめに今後の目標をお聞かせください。そして最後に今、海外留学をしようか悩んでいる方に向けてのメッセージをお願いします。

もちろんカーデザイナーを目指していますが、もっと根本のところで思っているのは”楽しんで仕事がしたい”です。それはスケッチやコンセプト立案などに関わらず、自分が仕事をしていて楽しいと感じられる環境に身を置きたいという願望が大きいからです。
今の留学生活はそれに近くて、宿題があって大変なんですけど、大変だと思わないというか・・・ハマっちゃってます。

今留学しようか悩んでいる方へのメッセージは”いいんじゃない?行ってみようよ”ですかね(笑)
これは僕個人の考えですが、特にデザイン学びたい人はもっと海外に出た方が良いと思っています。理由は、自分とは全く違うバックグラウンドを持った人達と触れ合って色んな考え方を知ることができれば、デザインの世界がもっと面白くなると思うからです。同じ学校出身の人たちばかりになるより、刺激があって良さそうじゃないですか?

その考え方、私は賛成です。これから留学生が増えて、日本のデザインが面白くなると良いですよね。
それにはまず、森田さんがデザイナーになって活躍し、それをCDAで情報発信することですかね。
プレッシャーを大いに掛けてしまいますが、頑張ってください!

 


インタビューを終えて

校長の喜屋武です。今回のインタビュー企画は、ある時森田さんがCDAの掲示板に書き込んだ、 “もっと留学する人が増えると日本のデザインも面白くなる” “進学先を決める際に選択肢のひとつとして留学を加えるのもアリですよ” というメッセージに私が共感した事が始まりです。
以前、CCSの伊藤教授とお会いして話した際に、クラスにはアジアの学生が多くいるが、その中に日本人はいないと少し寂しそうに言っていた事が今でも印象に残っています。私は特にこの現状を嘆いている訳ではありません。ただもし、森田さんと同じように若い人で海外留学できる環境にいるのなら、彼のように思い切って踏み出してほしいと思っています。海外留学によって全く違う世界で過ごした人達と触れ合って新しい価値観を知る。それは同時に自分たちのアイデンティティの確立にも繋がると思います。よく “日本らしいデザイン” という言葉を耳にしますが、それは日本以外の文化や価値観を知った上で見えてくるものではないでしょうか。
現状はデザイナーを目指して進学先を検討する際、当然のように国内の美術系学校が列挙されますが、そこに “海外留学” という選択肢が自然と挙がる事を目指して、CDAとして森田さんのような留学生を応援し、情報発信する活動を続けていきます。

作品ギャラリー

※画像クリックでスライドショー開始されます

 

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