【転職編】CDA卒業生の岩波さんインタビュー | ポートフォリオも公開!


こんにちは。カーデザイナアカデミーです。
今回のインタビュー記事は非デザイナーから、見事にカーデザイナーへ転身を遂げた岩波修さんについて。
前職の話からCDA受講のきっかけ、そして転職活動の話など、様々なことをお聞きしました。
現在転職を考えている人はもちろん、夢に向かって一歩を踏み出すか悩んでいる人に届けたい内容です。ぜひご一読ください。


1.デザイン系大学卒業なのにデザイナーじゃない?

–見事に転職を成功させて、現在はカーデザイナーとして活躍している岩波さん。ここまでの道のりは紆余曲折あったと思います。まずは前職の話から、転職を決意するに至った理由をお聞かせください。

 はい、実は私、前職ではデザイナーではなかったんです。千葉大学工学部のデザイン工学を卒業したのに・・です。大学時代の話から始めると、当時はカーデザイナーではなく家電のデザイナーを目指してました。元々カーデザインに興味があって大学に入学したんですが、トランスポーテーション科の先輩達が就活で苦戦しているのを目の当たりにして、その道は早々に諦めていました。経済的な事情もあり、絶対に就職したかったので就職状況が比較的好調だった家電に的を絞っていたんです。でも、いざ就職活動が始まると、受けた大手の家電メーカーは全滅しちゃいました。今思い出してもかなり厳しい戦いでしたね。

 行きたかった大手は軒並みダメだったので一度初心に返り、自分は何をしたいかを自問して出した答えが”車関係への就職”でした。その後なんとかカーアクセサリーを扱っている会社に就職できました。
 その会社にはデザイナーとして採用されたはずでした。・・・が、配属先は商品企画部。理由は採用試験で “ロジカルに考える力とプレゼン能力が最も高く評価された” からとの事。 自分のストロングポイントがまさかの結果を招くという、なんともやるせない出来事でした。企画の業務では一応スケッチを描いてました。ただし社内にはデザイン部があったので、スケッチといってもデザイナーに企画を伝えるためのポンチ絵程度です。

–前職がデザイン職ではなかったとお聞きしていましたが、岩波さんの持ち味がボタンの掛け違いを生んでしまったなんて。本当に何が起こるか分からないですね。

 その頃は、学生時代に思い描いていたデザインの仕事とは全く違うことをしていた現実に苛立ちを覚え、フラストレーションを募らせる日々を送っていました。そしてさらに追い打ちをかけるように、その後なんと営業部に配属されてしまいます。完全にデザインから遠のいたことで危機感と焦燥感が強くなり、転職を決意しました。

2.独学での学習、そしてCDAとの出会い

–転職を決意した背景にはそんな事情があったんですね。それでその後どんな学習をしましたか?CDA受講のきっかけも合わせて聞かせてください。

 大学時代はカーデザインを学んでなかったので、車のスケッチは未経験でした。そこでまず始めたのはYoutubeのレクチャー動画等、ネットの情報を基にした学習です。独学でもある程度のところまでは上達しましたよ。でもある一定のレベルに達すると成長は鈍化して、しばらく伸び悩む時期が続きました。

 そんな時、エンスー系カー雑誌Tipoがカーデザインアカデミーと共同でカースケッチコンテストを開催している事を知って、腕試しのつもりで作品を送りました。そしたらなんと、光栄なことに佳作を頂いたんです。スランプ時期だっただけにこの賞は大きな励みになりました。 これをきっかけに、もっと先のステップに進みたいと強く思うようになったんですが、それにはプロのデザイナーのアドバイスが必要だと考えて、カーデザインアカデミー受講を決めたんです。

こちらがTipo杯での入賞作品。独学でここまの表現力を身に着けていた事に驚きです。当時の記事はこちら

tipo1
tipo2

–Tipo杯が励みになったと聞いて企画した私達も嬉しい限りです。そのコンペ受賞後にご受講をスタートされましたが、CDAではどんな事を学びましたか?

 独学では車を表面的に描く程度までは成長できたんですけど、車の造形を理解して描くという次のステップには中々進めてませんでした。CDAでは喜屋武さん含め講師の方々から”車をどうデザインしたいのか?”それを”どう見せるべきなのか?”を学べたことが大きいです。パースの基礎やビューの設定、プロポーションのとり方や立体の捉え方など、なんというか、車らしく見せるスキルが得られたと思います。

講師からパースについての指摘を受けた提出課題作品。

添削を受けた作品

 実は立体の概念ってプロダクトデザイナーやカーデザイナーのように日々業務で3次元のオブジェクトに接してないと、理解するのが非常に難しいんです。それから、よくデザイナーのみなさんが口にする「デザインのテーマ」というのも、最初は意味が分かりませんでした(笑い)。”車のデザインにおけるテーマとはどんな事なのか?” その概念はレッスンやCDAコンペを重ねて徐々に理解できました。このような例を含めて、プロとアマチュアの間には結構な距離があるんです。CDAには、その距離をぐっと縮めてもらった事に感謝しています。

CDAコンペでの提出位作品。この時点でデザインにおける「テーマ」についての理解が深まっている事がスケッチから伝わります。

CDAコンペ提出作品1
CDAコンペ提出作品2

–確かに、普段カーデザイナーが何気なく使っている用語は聞き慣れないものが多いですよね。またある部分を示すワードが会社によって違ったりしているので、さらに混乱しますよね。ところで、CDAの講師についてはいかがでしたか?

 私の場合は担当が喜屋武さんでしたが、それで本当に良かったと思っています。喜屋武さんとは年齢が近いこともあって、構えて話す必要が無かったので些細な事も聞きやすかったです。もし、始めから栗原先生のような超大物と会話する事になってたら、多分緊張しちゃって大変だったと思います(笑)。

–それは言えてますね(笑)。栗原先生の放つオーラはビデオチャットでも十分に伝わってしまうと思います。
 ここで学習時間についてもお聞きしたいのですが、お仕事との両立は大変だっと思います。どうやってマネジメントしてましたか?

 空き時間をいかに有効活用するかが重要でしたね。常にきちんとした自己管理を意識していましたよ。学習時間のメインはやはり休日で、特に予定が無ければ5〜6時間くらい課題に取り組んでました。ただ平日でも最低一枚は必ず描いてました。これは確か喜屋武さんからのアドバイスだったと思いますが、スケッチは毎日描かないとすぐに腕が鈍ると聞いていたので、とにかく少数でもスケッチしてました。

CDA受講時の課題作品。アイデアスケッチの数は常に他の受講生よりも多く提出されていました。そして岩波さんの秀逸な点は、全ての提出作品において全く手を抜かないところです。
CDA受講時の課題スケッチ_01

 CDAの学習って、時間をうまくマネージメントできれば自分のペースで学べるので良いシステムだと思います。そして学習をより効果的にするにはモチベーションの維持が重要です。私の場合は”絶対にデザイナーに転職してやる”という執念をモチベーションに繋げてました。

3.順調ではなかった転職活動

–お話を聞いていると、CDA受講よりも結構前に転職を決意されたようですが、具体的な転職活動はいつ頃から始めて、どんな状況だったんですか?

 転職活動はCDA受講前から始めてました。実は日本に本社があるカーメーカーは全社受けてます。なんならダイハツも一度は落ちてます(笑)。あと日本にスタジオを置いている海外メーカーにもトライした事があって、ある時は電話口で経験を聞かれ、正直に伝えたら即答でお断りされた事もあります。

 いくつかの会社は最終面接まで進めたんですが、結局不採用。やはりデザイナーの肩書もキャリアもない事は大きな壁でした。

–センスなどの中身ではなく、”未経験” というだけで採用されていなかった可能性も大いにありますよね。中途採用なので基準が厳しいと理解できますが、良い人材を取りこぼしているようなもったいない気がします。 ところで、国内全メーカーを受けたとのことですが、デザイン業の転職って採用試験はどうなっているのか、かなり気になるところです。岩波さんはどんな試験を経験をされましたか?

 試験内容は会社によって多少違いますが、ほとんどの会社はポートフォリオと面接でした。とある面接で、「何か好きな車は?」という質問に対し、その会社が生産していない車種の車名をつらつらと述べていたら、途中で「あっ、もういいよ。うち、そういった車はやってないから」と言われて非常に重たい雰囲気になった事があります。あれは完全に失敗でしたね。あと、ちょっと他と違った試験としては、実技試験を設けている会社もありました。試験内容はパーススケッチで、車をいくつかのアングルで描く課題とジオメトリックな形の3面図を斜視図(斜めから見た図)に起こすテストでした。立体把握の能力が試されてたんだと思いますが、結構難しかったです。

–転職活動を通して多くの経験をされたんですね。
そして長い努力の末に、めでたくダイハツに採用されました。経緯を聞かせてもらえますか?

 ダイハツの採用試験を受けようと思ったきっかけは、ダイハツ東京デザインスタジオとコラボレーションしたCDAコンペです。幸運な事に私はそのコンペで最優秀賞を頂きました。その時にダイハツ東京スタジオ課長(当時)の清水さんが各作品に対して的確にコメントされていたのですが、それにすごく好感が持てて、”ダイハツ良さそうだな・・よし、もう一度受けてみよう!”という気持ちになったんです。またちょうどその頃ダイハツが中途のデザイナーを募集していたので、これはチャンスだと思いすぐに応募しました。その後うまく事が運んで、最終面接につながり、内定をいただくことができました。CDAのコンペ結果も選考に影響してたのではないかと思っています。

ダイハツとのコラボレーションCDAコンペで最優秀賞を獲った作品。「小さいけど高級」をブランド品のテイストを取り入れたことで巧みに表現しています。

CDAコンペ最優秀作品01
CDAコンペ最優秀作品01

 実はこの転職活動中、プライベートでは結婚を考えていて、どうなるか分からないカーデザイナーへの挑戦は諦めようか悩んでいる時期でもありました。なので内定通知を受け取った時は、心の底から嬉しかったです。採用を決めてくださった方々はもちろん、それまで支えてくれた人たちには本当に感謝の気持しかありません。

4.転職活動で大切にしていた事

–ご結婚と転職を同じタイミングでされて、一気に幸せが訪れた感がありますね。転職を成功させた岩波さんにとって、転職で大切なことは何だと思いますか?

 ずばり人との繋がりです。転職前の私はカーデザイナーでもプロダクトデザイナーでもなかったので、デザイナー同士のネットワークを全く持っていませんでした。なので、デザイナーと出会う機会があれば積極的に参加するといった努力は惜しみませんでした。人の繋がりはとっても大事で、転職の場合は尚更かと思います。学生の場合はインターンなどで ”デザイナーと出会うきっかけ” が用意されています。しかし卒業後はそのようなものはありませんので、自分で作るしかないんです。また、広げたコネクションは貴重な財産になりますので、ポジティブに活動することは決して無駄じゃないです。

–目標達成するためには、スキルだけでなく人脈を広げることも大切なんですね。それでは、現在転職活動をしている方や、これから転職の一歩を踏み出そうとしている人たちへのアドバイスをお願いします。

 私からのアドバイスは「自分は何をしたいのか?」が全てだと思います。私の場合はカーデザイナーになりたいという強い思いがあり、そのためには何をすべきかは分かっていました。ただ、すべき事は分かっていても、実現できないことも多々あり、その度に心が折れそうになりました。そして同時に目標も見失いがちになることもありました。その時に大事なのはいかに周りを頼るかだと思います。当時、CDAの方に色んな相談をした事を覚えています。
 あと、”努力を続けるためにはどうすれば良いのか?”を常に考えながらモチベーションを維持する事も心がけてください。高いモチベーションをキープする”スキル”も転職においては大切だと思います。

5.ダイハツってどんな会社?

–現在所属されているダイハツは岩波さんにとってどんな会社ですか?

 一言で表すと “風通しが良い会社” ですね。遠慮なく議論できる雰囲気があります。会社では皆がフランクに話せるんですけど、それは部長クラスの方はもちろん、役員クラスの方だって例外じゃないんです。 また、これはデザイン部だけの話ではありません。情熱を持って物事に取り組めば、困ったときには他部署の人たちが積極的に協力してくれます。私自身、この会社にいて”セクショナリズム”を感じたことが無く、風通しが良くて皆が互いに協力し合える会社だと思います。
 それから、誰かが突拍子もなく面白いアイデアを思いついた時に、否定せずに作っちゃうところが個人的に好きです。楽しくてワクワクした気持ちで作った車ってお客様にも伝わると思ってるので、私もこの社風というか精神を大事にしていきたいですね。
 ただ、ちょっと困っているのは、大阪にある企業だから(?) ちょいちょい面白い事を求められる事ですかね。皆さん笑いのレベルが高いので中々ウケてもらえないです・・・。

–ユニークな車が多いダイハツにはそんな文化があるんですね。納得です。笑いのセンスは今後努力してください(笑)。ところで、現在はどんなお仕事をされているんですか?

 現在は4年目で、ショーカーのセクションに属しています。直近の携わった仕事としては、2019年の東京モーターショーで2台の車両をメインにジョインしていました。業務内容は、ショーカーのエクステリアからインテリア、そしてブースのデザインまで。広い範囲で様々なことをさせてもらい、短い期間で非常に多くの経験ができました。とても忙しい日々でしが、常々感じていたことは”今が人生で一番楽しい!”という充実感でした。

–すばらしい!それはまさに”やりがい”を感じながらデザイン業務に没頭されているんですね。感服しました。それでは最後になりますが、今後の目標を!

 近い将来の目標は、ショーカーのデザインです。前回のプロジェクトではいくつかのアイデアが採用されて形になりましたが、いつかは車一台を丸々デザインしたい(まとめたい)という思いがあります。また別の目標としては、量産プロジェクトで外形あるいは内装いずれかのデザインコンペでウィナーになることで、”この車は自分がデザインした”と言えるようになりたいです。そうなれるよう、今後も精一杯頑張ります。

こちらがメインに携わった2019 TMSショーカー2台のうち1台「Tsumu Tsumu」。見ているだけで笑顔になる、遊び心あふれるコンセプトカー。”面白いアイデアが生まれたら作っちゃう”感が表れている車ですね。

ショーカーtsumtsumu

会場にいたCDA校長喜屋武とのツーショット写真。受講生の活躍に思わず満面の笑み。

会場で校長の喜屋武と2ショット

6.大公開!これが転職で成功したポートフォリオ!

–転職活動する方々にとって一番気になるのはポートフォリオの内容だと思います。特に多い声としては、「学生時代の作品って載せるべきですか?」など。その辺りを岩波さんに聞きました。

 私の場合は中途採用なので、先方はきっと「今あなたは何ができるの?」が一番知りたいことだと考えました。そこで、前半のページには直近で描いたスケッチを載せました。
まず最初のページはCDAで作成したコンセプト作品です。理由としては、この作品はコンセプトワークから最終スケッチまでまとめてある作品なので、先方に対して”私企画からアイデアスケッチ、レンダリングまで一通りできます”という事をアピールするためです。

 その後のページはCDAコンペの作品群ですね。私が最優秀賞を獲った作品を先頭にして、高評価を頂いたデザイン作品を複数載せました。

 学生時代の作品はについては、これも「相手が何を求めているのか(知りたい情報なのか)」次第で判断すれば良いと思います。私は授業以外の作品をいくつか載せました。例えは友人のために作成した結婚式ウェルカムボードや、バイト先のカフェで描いたランチのイラストなどです。目的は私の画力の幅を強調することが狙いです。ただし、積極的に見せるのではなく、”添え物”として加えました。これは実際に転職して分かったことですが、カーデザイナーって意外と車だけでなく、色んな絵を描くことがあるんです。例えばモーターショーを担当すると、演出の打合せでは人の絵を描きますし、ブースの話になると空間パースを描いて説明したりします。今にして思うと、ポートフォリオにカースケッチだけでなく、イラスト等を入れていたことはポジティブな評価に繋がったと想像しています。

岩波さんのポートフォリオはこちら

画像をタップすると拡大画像をスライドでご覧いただけます。


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