第7回:結果発表 <テーマ> 「一人乗り超コンパクトEV」

第7回Car Design Academy コンペティションの結果を発表いたします。
今回も皆様の作品を、山下敏男 先生に審査して頂きました。
山下先生は皆さんもご存じのとおり、日産Z32フェアレディーZやシルビア、そしてR34スカイライン等、数多くの名車をデザインされ、今なおデザイナーとして世界的にご活躍されている方です。
今回は、15作品が審査対象となり、実際カーメーカーやデザイン会社でおこなわれる、カーデザイン評価会と同様の方法で、審査されました。
審査はスケッチ表現力のレベル別に3つのグループに分けています。

テーマは「1人乗り超コンパクトEV」
個人所有で楽しめる車から、公共性の高い車、さらには空を飛ぶといった車まで幅広い範囲の提案が集まりました。
提出した方々は勿論、今回参加できなかった方もテーマに対する解釈の違いを知る良い機会になると思います。

審査の基準は、前回と同様に
審査の基準は、「Integration(完成度の高さ)」15点
① テーマとコンセプトの整合性 5点
② アイデアの展開力     5点
③ スケッチ表現力       5点
とし、テーマとコンセプトの整合性がうまく合致し、現実感を帯びたデザインが高得点の要素となりました。
※具体的な点数は提出された方々に個別でシートをお送りし、全体に公開はいたしません。ご了承ください。


作品のグループと順番は以下の通りです。

グループ A
1. Predrag Stajic Strandhag
2. Anton Rutkovskij
3. Tashiro
4. JIhed Zaier

グループ B
1. Abdul Hafidh
2. Masaharu Muguruma
3. MItsuru Morita
4. Takatoshi Inoue
5. Yuki Kobayashi
6. Jorge Trujillo

グループ C
1. Yuya Shishido
2. Taisuke Ando
3. Rina Chen
4. Keita Okazaki

【注目!】

審査の中では、どのようにすれば上のランクのグループに入れるかというポイントも説明しています。
次回のコンペでは、一つでも上のグループに入れるようにがんばりましょう。
また、今回グループAに属している方も、気を抜かずにスケッチレベルの向上とデザインの研究に励むようにしましょう。


それでは、審査のビデオをご覧ください。
今回は英語で作成された作品、日本語で作成された作品がありました。
どの方でもコンセプトの内容が分かるようにと山下先生の配慮により、評価コメントだけでなくコンセプトの説明もされています。

Group A

Group B

Group C

Winners and Judge’s Comments


審査結果発表

各グループごとに3位まで(グループCは優秀賞のみ)の順位を発表いたします。

最優秀賞は、グループA作品04、Tashiro!
「テーマとコンセプトの整合性」の点数が最も高く、アイデアの展開とスキルの高さが高評価に繋がりました。
従来のシェアカーとは違い、車の使用目的が移動するだけでなく、必要なものを提供するといったアプローチはユニークで興味深く、新しい車の可能性を感じさせていました。
また、そのアイデアを形状に落とす作業においても機能面とのバランスをうまく取っている点も優れていました。
ただし、レンダリングにおいては、アイデアスケッチの魅力を超えることができていませんでした。
ポイントを挙げると、アイデアスケッチでは硬い面質で統一されたデザインですが、レンダリングのフロントビューでは、ボディー側面の形状がソフトな面に見えます。(ペイントでのグレイブラシの入れ方が影響しています)
また、描き込みも、3ビューすべてが同じレベルですが、一つの見せたいビューを集中的に描いて、残りのビューとの差を付けると、審査する人に自分の作品の主張を伝えることができます。
これらのポイントを次回に生かしてください。

 

グループ A 2位 作品02 Anton Rutkovskij

車とVRを組み合わせたこのユニークな案は、内容が少し複雑なので、第三者に伝えることが難しいのですが、リアリティのあるレンダリングと構造を示したスケッチにより、十分に理解できるようにしている点が素晴らしいですね。
作品の特徴を伝えるためには何が必要なのかをしっかりと理解されている印象を抱きました。
最優秀賞との差はデザインの完成度でしたが、こちらの案はフロントに比べるとリアの処理、特にリアコンビランプの形状が全体とマッチしていないように感じます。(このような場合、よくデザイナー間の会話ではデザインが未消化という風に言い表されます)
このデザインはフロントがメインだと思いますので、フロントは今回のレンダリングのようにカッチリと仕上げて、リアのレンダリングは時間を少し削ってクオリティーを下げてでも、デザインの完成度を上げるようにすると良いでしょう。

グループ A 3位 作品01 Predrag Stajic Strandhag

スケッチの表現力と、プレゼンテーションにおいて高い評価を得ていました。
ただし、デザインにおいては、アイデアスケッチ展開による検討が不足しているように感じられました。
空を飛ぶコンセプトが目を引いていましたが、形態においても、ユニークなものになるようにスケッチ検討をすると全体の魅力はさらに高まるでしょう。

グループ B 優秀賞 作品03 Mizru Morita

機能と形態がよくマッチしている作品で、ロジカルにデザインを考えられている点が高評価を得ていました。
また、デザインのプロセスにて、なぜこの形態になったのかを分かりやすく説明している点も好印象を与えていました。
デザイン活動において、自分が良いと思うデザインを考案した時、それがなぜ良いのかを理解させることもデザイナーにとって重要です。
この作品ではそれがしっかりと表現されていました。ただ、アイデア展開においては、バリエーションの幅が狭いように感じられました。色々な形へのトライも今後はしていくようにしましょう。

グループB 2位 作品01 Abdul Hafidh

サーファー用コンパクトカーの提案で、世界観をよく表現できている作品でした。スタイリングセンスの良さが光る作品で、アイデア展開の中には最終レンダリングよりも魅力的なアイデアがいくつか見られました。
注意点としては、サーフィンをするための道具が本当に入るのかという点です。
明確な使用目的がある車を提案する時は、使われるシチュエーションをよく考えるようにしましょう。また、レンダリングにおいては、ボディーの光沢が表現されていない事で、樹脂(プラスチック)製品に見えてしまっています。
この辺りも鉄製に見えるような描き方を心がけると良いでしょう。

グループB 3位 作品05 Yuki Kobayashi

新たな公共交通としての小型モビリティーの提案でしたが、ユニークな点は拠点をコンビニとする点でした。
考え方は興味深いのですが、プレゼンテーションとして、A4(A3?)縦一枚で伝えることは難しいでしょう。
また、伝えるための材料も不足しています。
伝えるためには何が必要なのかをもっと検討すれば、この作品の魅力は高まるでしょう。

グループC 優秀賞 作品02 Taisuke Ando

グループCの作品の中で、プレゼンテーションが最も充実していた点が受賞理由です。
惜しいところは、コンセプトで示された車の使い方と車両寸法の関係について説明が不足している点(これはグループBのMizruさんの作品を参考に)、そして、アイデア展開においてはバリエーションが少ない点でした。
次回はこれらの点に気を配りながらデザインするようにしましょう!

受講生の皆様へ

今回も全ての作品に、山下先生よりコメントを頂きましたので、他の仲間の作品とそれらに対するコメントから、自分のデザインを向上させるヒントを見つけてください。
今後皆さんが、何かのコンペに参加したり、インターンに募集する際にも、今回のコンペのように何かしらのテーマを与えられて作品を制作することになります。いつか自分が大きな挑戦をするときに備えて、CDAデザインコンペには積極的に参加して腕を磨くようにしましょう!次回も皆さんのご参加お待ちしています。
それではまた次回をお楽しみに!

Group A

 

Group B

 

Grpup C

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